KSNO(コウフストリートナイトアウト)
9月10日、東京ではFNOことファッションナイトアウトが開催される。多くのファッショニスタやインフルエンサーが街に繰り出すイベントだ。
さて、私たちの地元甲府では当然のごとく、このようなファッションイベントとは無縁の土地であるが、土地の人間たちが持つポテンシャルは引けを取らない。地元びいきなどしたくもないが、そう言ったことを抜きにして実はちょっと凄いセレクトショップやメーカーがひしめき合っているのである。都心から2時間圏内ということもあり、セレクトショップがデザイナーやブランドと直接の繋がりを持ち、ヘタをすると遠くの直営店よりも直営店らしく、ビジネスパートナーとしての関係性を築いているのだ。
(画像はイメージ)
数あるそんなショップのひとつに、ilk(イルク)がある。国内の気鋭のデザイナーズブランドや、南米はブラジル、欧米はドイツ、イタリア、ベルギーなど各国から独自の視点でブランドをセレクトしている。どのブランドも知名度は一般的に見るとそれほど浸透しておらず僕のような00年代ストリートこじらせ野郎には、ブランドの読み方や発音が分からず、スタッフに尋ねてばかりいる。9月10日はESSAYという2シーズン目を迎えるブランドの秋冬の立ち上げに二人のデザイナーが甲府を訪れ、店頭に立つ。取り扱いは日本全国各地あるのになぜ甲府なのか。ツアーでも回っているのか。よほど他の取引先よりも売り上げをおっ立てているということか。いや、もしくは黒い接待が行われているかもしれない、などと邪推せずとも楽しみな試みだ。デザイナーに会い、交流し、その場で買い物が出来る。こんなに贅沢なことはない。詳しくはショップのインスタグラムを参照してほしい。
そしてilkから二軒隣のジュエリー、ミュージック、コーヒー、お酒、本、ノベルティグッズなど幅広いカルチャーを扱うコンセプトショップJewels&Thingsでは友人知人が写真の個展を開く。9月6日から10日間、店舗に写真が展示されるのだ。僕は9月10日の週末、ここでDJをさせていただけることになった。その内の一人は普段、仕事のかたわら個人でストリートスナップやSOMECITYなど甲信エリアで開催されるストバスイベントのフォトグラファーを務め、インスタグラムでは独特のキャラとセンスの世界感を展開し多くのフォロワーを獲得している。そんな彼の写真展の意気込みを引用してみる。
今回わざわざ多くのエネルギーを費やして写真展を地元甲府で行う理由はただ一つ。「リアルを感じて欲しい」ということです。僕自身SNSをやってて、あまりの情報の多さとスピードに頭がイカれそうになります。溢れ出る程の情報が流行りを産み、瞬く間に流れ過ぎていく。それと一緒に今までこだわってきた自分の中にあるセンスや信念みたいな物まで一緒に流されている気がして、僕はとてつもない恐怖を感じるようになったのです。(中略)
何年も前の話ですが、確か僕がフェイスブックか何かに自分の名前をつけたスナップ特集を載せて周りにバカにされた記憶があります。今思えば、それが僕の「信念」かな、と。いつか形にしてやろうって。今回僕が撮り下ろした写真はほとんどストリートスナップです。山梨のDQN(自覚症状あります)が撮った写真を見に来いって言うのも申し訳ないようですが是非来て欲しい。
自身をDQN(ドキュン)と呼んでいるが僕の見解で半分は相違ない。確かにある種のDQNに分類されるかもしれない。でもそれは一般的見知からのDQNというベクトルとは違うように感じる。言うなれば、パンクの文脈を身に纏ったモードファッションのクリーチャー、その名もFQN(ファキュン)あたりが、落ち着くかもしれない。造語だけれども。最近行われたあるイベントで、踊るともなく、誰に頼まれるわけでもなく、朝までファインダーを覗き、シャッターを切っていた姿に好きなものを撮るという執念、怨念めいたものを感じた。そのバイタリティがどのような形で表現されるのかが、非常に楽しみなのである。10日の夜は僕らの音楽を聴きながら、彼らの作品を見て空間と共に楽しんでもらいたい。
極めつけは同日、前述した二つの催しの後、もと映画館甲宝シネマだった場所、KOFU101にMUROさんがやってくる。グランドマスターレベルのビッグゲストだ。こちらのイベントは辛口なグルメハンターの舌をも唸らせ、甲府において肉のグランドマスターとして君臨しているてっぱん秀さん全面サポートのもとに開催される。MCとしてDJとして漆黒のレアグルーヴを掘り続けるディガーとして、あるいは最前線で活躍するアーティストたちに楽曲を提供するプロデューサーとして。長年活躍を続け、シーンを支える偉大なるアーティストである。バスドラ発スネア行き、まさかの、この日は甲府着。久々の甲府登場に胸が躍る。詳しくはイベントを企画、運営するHAPPYKINGのアカウントにて。チケットはもちろん発売中だ。
以上、9月10日は山に囲まれた地方都市に、同時多発的にいろいろ起こる日なのである。甲府ストリートナイトアウト、KSNOとでも呼ぼうではないか。どうせなら面白そうな場所に足を突っ込んだ方が面白いに決まっている。どれかひとつである必要はない、みんな違ってみんないいとは、どこかで聴いた詩の一節だが、体験しなければ分からないことがほとんどだ。
via:youtube
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