Asuka Anastacia Ogawa/NOAH CLUBHOUSE
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NOAHブランドが好きで仕方がなくて、縁あってレセプションに行かせてもらったというお話しはこちら。
オープンレセプションの際に気に入って(実際購入したのは次の日のオープン日)買ったパーカーの内タグ(製品仕様や洗濯方法が書いてあるタグ)がほつれてしまっていることに気づいた。まだ試着以外袖を通していないものだ。いずれとれてしまっても問題はないものだし、僕はそもそも神経質な方ではない。むしろがさつである。なのでNOAHのタグに愛着があったのかもしれない。FNOの日にNOAHに足を運ぶことは決めていたから、ダメ元で相談してみようとパーカーを持ち込んだ。ショップスタッフは親身に相談に乗ってくれた。同じ型の在庫はなくすでに完売してしまっているもので、交換は出来ない。「僕らの手で良ければ縫いますよ」なんて素敵な提案もしてくれたのだが、実際に持ち込んだ現物を確認すると根本からタグが取れてしまっているため、手作業での修復は難しいとのことだった。残念だが諦める他にない。
NOAHというブランドがどのようなブランドなのか、分かりやすいエピソードに「OUR PACKAGING SUCKS」がある。NOAHでは環境に配慮した梱包材や梱包方法をチョイスしているため、配送の際、カスタマーからクレームが寄せられることがあるという。しかし、ブランドは一貫して意に介さない。「高級な装丁のラッピングをしたところでプロダクト自体の品質は変わらない」という理念のもとに。確かに内タグが外れてしまっても、パーカー自体の品質は変わらない。僕は着続けるだろう。それはむしろ僕だけのパーカーになる証だととらえよう。無茶な相談に、親切に手厚い対応をしてくれたショップスタッフに感謝の意を伝えた。
他の商品を見回していると別のスタッフが声をかけてくれた。それは何の変哲もない、アパレルショップスタッフとカスタマーのありふれたやりとりである。レセプションの時にも見かけた彼女のその存在感は不思議と心惹かれるものがあった。好奇心から、モデルなど他の活動でメディアに出ていたことはないかと尋ねてみる。どこかで見かけたような気がしていたからだ。彼女はアート作品を描いているという。NOAH CLUBHOUSEの2Fへ続く吹き抜けには数々の大きな絵画作品が飾られている。レセプションの際、一際目を引いたアートが彼女の描いたものだということが分かった。力強く、どこか優しく、僕の記憶には強烈に印象に残っていた。
NOAHスタッフ/アーティストであるAsuka Anastacia Oguraはハーフで16歳まで日本で過ごし、その後は海外での生活を送っている。NYのNOAHで働き、東京へはNOAH CLUBHOUSE立ち上げのために期間限定でやってきた。元々はアニメーションなど映像作品に携わっていたが、いつしか絵画作品に傾倒していったという。「アスカと言えばEVAだね」なんてミーハーな話しを振ったらまさかのチャゲアスの方が先に出てくるセンスはさすがだ。ほんとにNY在住なのだろうか。
冗談はさておき。僕はAsukaに小さな作品はないかと聞いてみた。お店に飾られている作品が一番小さいものだそうだ。僕の住む小さな部屋には飾ることができないし、きっと僕の経済事情では支払うことのできない額に違いない。なので小さな作品なら手が届くかもしれない。というのは僕の勝手で安直な願望だった。考えてみればあのサイズだからこそ魅力的であり、Asukaというアーティストが表現したい作品性が宿っているのだ。
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僕がAsukaの作品を購入し、飾れるようなスペースを持てるようになるころにはバスキアやキースへリング、ウォーホルのようなとてつもないアーティストになってしまっているかもしれない。そのときはオリジナルではなく、複製原画になってしまうのもやむなし。いずれ縁あれば手にしたい。そう思えるアート作品だった。最近はそんな買い物にも興味がある。服だけでなく絵画作品や写真作品などのアートを収集していきたい。業界で著名であるかどうかではなく、こんな風にして顔を合わせて作品を買う事の出来る関係性をアーティストと築いていきたいものだ。モノ自体の善し悪しや好みはあれど、アートも服も、その作り手や売り手との関係性に依るものが大きいかもしれない。なのでバイヤーとして僕は二流だ。たぶんそれ以下だ。でもそれでいいと思っている。人の出会いに勝る価値あるものなんてこの世にあるだろうか。
なんつって。
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