HIROKI NAKASHIMA Tokyo Attribute

Photo by Hiroki NAKASHIMA


この写真は、フィルムカメラで撮られたものです。僕の宝物のひとつ。ふらふらと、きっと何かその時はその時なりの用事があって、表参道を歩いていました。この頃、ありがたいことに、割と雑誌やウェブメディアのスナップを撮ってもらうことが頻繁にありました。しかし、この日声をかけてくれたその人は、いつものカメラマンが携えているデジタル一眼レフとは違うものを背負っていました。フィルムカメラについて、詳しくはないのですが、四角い一つ目の、本人に聞きましたところ、MAMIYAのRZというカメラで、

フォトグラファーの中島洋紀さんは、ポートレートを撮り続けているのだといいます。「過去にバンコクのストリートでたくさん人を撮りました。今度は東京で出会った人たちを撮りたい」彼はそういいました。僕なんかで良ければぜひ。フィルムでポートレートを撮ってもらった経験はあまりないので、記念にもなると軽く返事をしました。彼は僕のことを撮ってくれました。後日、現像したフィルム写真を送ってくれました。

この記事に掲載しているのはデータですが、今でも焼いてもらった写真は大切に保管してあります。

「個展をやるときはまた連絡しますね」メールの文末にはそう書いてありました。

あれから3年ほど。中島さんの個展が新宿のニコンサロンにて今週火曜日から行われています。フランス、パリでの個展やアメリカ、ニューメキシコで合同写真展に出展するなど、ワールドワイドなプロモーションを経て、開催が決まったそうです。時間にしてほんの数十分間の邂逅。被写体と撮影者、言ってしまえばそれだけの関係なのですが、そこに全てが凝縮されているような気がします。知らせが届いたときはなんともいえぬ高揚感がありました。自分のことのように嬉しく、幸せな気持ちに包まれました。僕の写真も作品として展示してくれているそうです。他の作品もぜひ見てみたいし、久々に中島さんにもお会いしてお話したいので週末に時間を作って足を運んでみようと思います。


以下個展詳細です。


Tokyo Attribute

4/19 (火) ~4/25 (月)

10:30~18:30(最終日は15:00まで)

会期中無休

本展では、2012年から渋谷区の表参道で出会った人々を撮影したモノクロポートレート作品を展示する。

表参道は1919年に明治神宮へ参詣するための道として発展が始まり、空襲で甚大な被害を受けたものの、高度成長期や東京オリンピックを経て、ファッションや文化の発信地へと変貌を遂げた。

また昨年、渋谷区は差別のない社会を実現するべく、パートナーシップ証明書の交付を開始した。

ファッションと人と街の相互作用、多様性を受け入れる姿勢、情報過多の現代においても、この場所から発せられる独特のベクトルは今も人々を引き寄せる。

流行は一時的に社会のある領域で流布しては、あらゆる形態で新陳代謝を繰り返す。そしてときに人々の価値観や意識へと浸透していく。

明治神宮の創建100周年となる2020年、偶然にも再び東京でオリンピックが開催される。街はやがてその節目を迎え、人々は時とともに歩みを進める。これからも時代という流れの中で、人々を撮り続けたいと作者は思う。モノクロ約30点。

中島 洋紀(ナカシマ ヒロキ)

1980年大分県生まれ。2009年からポートレートを中心に東京とバンコクで制作を続けている。

写真展に12年「LAND OF SMILES」(Gallery NIW/東京)、グループ展に15年「Tokyo Attribute」(La Quatrième Image/パリ)がある。同年「Review Santa Fe Photo Festival」(ニューメキシコ/アメリカ)、同年「六甲山国際写真祭」(神戸)に参加。

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